てんかん・統合失調症・うつ病治療 名古屋・今池の精神科クリニック

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コラム:リカバリーを支えるサポートとは?~「RSA-R」について~

精神科デイケアは、利用者の方々の社会復帰を目的として作られている施設ですが、「デイケアの長期利用」が問題となっています。
そんな中、「本当にデイケアに治療的な効果、社会復帰の効果があるのか」、「デイケアはきちんと機能しているのか」…そういった疑問の声が出始めているのも事実です。
そうした声に対しては、デイケアの側が「私たちのデイケアは、これだけ機能しています」とアピールすることが必要です。
ですが、現時点では「精神科デイケアがどのぐらい機能しているか」を測る「モノサシ」についての研究がほとんどありません。
「デイケアが本当に、目的に沿って正しく機能しているか」をチェックするにはどうすればいいのでしょうか。

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私たちが注目しているのは、アメリカで開発された「RSA-R(Recovery Self Assessment Revised; O’Connellら, 2007)」というアンケートです。
デイケアには様々な機能がありますが、どのデイケアにも共通するのは「利用者の『リカバリー』を支えること」だと考えられます。
「リカバリー」とは、平たく言うと「障害があったとしても、自分らしい生き方を追求し、自分のことは自分で選択して、自分の人生に責任をもつ」…というあり方を目指すことです。
「RSA-R」というアンケートでは、精神保健サービスが利用者の「リカバリー」につながるようなサポートをどのぐらい提供できているかをチェックすることができます。

 

「RSA-R」は、2005年に開発された「RSA」というアンケートの改訂版です。
「RSA」は元々、O’Connell氏がアメリカ・コネチカット州の精神保健局と共同で作ったアンケートでした。
作成にあたっては、「リカバリー」に関する過去の研究や専門家の意見だけでなく、当事者や家族の声も参考にされました。
こうして出来上がった「RSA」と、改訂された「RSA-R」には、職員を対象にした「サービス提供者版」のほか、「利用者版」、「家族版」、「管理者版」の4つのバージョンが存在します。
また、デイケアのような施設だけでなく、入院病棟やピアサポートグループ(自助グループ)、訪問型サービスで使うことも可能です。

 

私たちは、この「RSA-R」を日本でも使うことができないかと考え、日本語に翻訳してみました。
ここで「RSA-R」の日本語訳版の内容をご紹介します。(質問文は「利用者版」のものを掲載しています)


「全くあてはまらない」=1点、「あまりあてはまらない」=2点、「どちらともいえない」=3点、「まあまああてはまる」=4点、「とてもよく当てはまる」=5点として回答する形式です。
また、「よくわからない」という答えや、「利用している(提供している)サービスには関係がない」という答えをしていただいても構いません。
(例えば、「施設の環境」に関する質問は、訪問サービスを利用している方にとっては関係がない質問となります)

 

1. スタッフは、私をあたたかく迎え入れ、施設内で心地よく過ごせるようにしてくれる。
2. この施設内の環境は、魅力的である。
3. スタッフは、私がリカバリーへの希望や高い目標をもつよう励ましてくれる。
4. 私が希望すれば担当医や担当ケースワーカーを変更できる。
5. 私が希望すれば複雑な手続きをせずに、カルテなど自分の記録を見ることができる。

 

6. スタッフは、私を言いなりにしようと圧力(脅しや金品を用いる等)をかけることがない。
7. スタッフは、私がリカバリーを達成できると信じてくれる。
8. スタッフは、私が自分の病気の症状に対処する力を持っていると信じてくれる。
9. スタッフは、住む場所、仕事を始める時期、友人関係など、生活に関することは私が自分で決めることができると信じてくれる。
10. スタッフは、治療やケアについての私自身の意見に耳を傾け、尊重してくれる。

 

11. スタッフは、私が地域の中でしたいことについて日頃から尋ねてくれる。
12. スタッフは、何らかのリスクがあっても新しいことに挑戦するよう私を励ましてくれる。
13. この施設では、私独自の人生経験に合わせてサービスが提供してもらえる。
14. 希望すれば、スピリチュアルな問題や哲学的な問題について話し合う機会を設けてもらえる。
15. 希望すれば、性的な問題について話し合う機会を設けてもらえる。

 

16. スタッフは、病状を安定させるだけでなく、私が人生の目標を立て、それに向かって進んでいくことをサポートしている。(就労、教育、身体的健康、家族や友人との関係、趣味等)
17. スタッフは、私が仕事を見つけるのを日頃からサポートしてくれる。
18. スタッフは、私が生涯教育、スポーツ、趣味などの、精神科とは直接関係のない活動にも参加できるようサポートしてくれている。
19. スタッフは、私の治療プランを立てるにあたって、私にとっての重要な他者(家族、友人、職場の上司等)も参加してもらえるようにしてくれる。
20. スタッフは、私がお手本や相談相手にできるような、リカバリーを目指している他の仲間に私を紹介してくれる。

 

21. スタッフは、私が自助グループや当事者が運営するサービスとつながりをもてるようにサポートしてくれる。
22. スタッフは、私が地域に貢献するための方法を見つけるようサポートしてくれる。(ボランティア、地域清掃等)
23. 新しい活動やプログラムを立ち上げる時には、私もスタッフの手伝いをするようにすすめられる。
24. 施設(サービス内容やスタッフの働き)の評価活動をする時には、私も参加するようにすすめられる。
25. 施設の運営に関する会議が開かれる際には、私も参加するようにすすめられる。

 

26. スタッフは、私がこの施設を「卒業」するために何が必要かを、私と話し合ってくれる。
27. スタッフは、私が目標に向かっていく成長のプロセスを振り返られるようにしてくれる。
28. スタッフたちは、私の目標を達成するために一生懸命である。
29. 私には、スタッフの教育や研修にかかわる機会が与えられている。
30. スタッフは、私がこれまでに生活してきた文化や集団の中での体験や興味についてよく聴いてくれるし、反応を示してくれている。

 

31. スタッフは、地域で活動する研究会や、その活動内容についてよく知っている。
32. この施設のスタッフは、ライフスタイルや関心事などの面で偏りがない。


いかがでしたか?
答えにくい項目もあったかもしれませんが、「リカバリー」や、「リカバリーを支えるサポート」がどのようなものなのか、何となくおわかりになったでしょうか。

私たち精神科で働くスタッフ一同は、こうした支援を提供し続けられるよう努めていかなければなりません。
そして、サービスを利用している当事者や家族の方々にも「リカバリー」について理解していただくことが、「リカバリーを支えるサポート」には不可欠です。
職員、当事者、家族、そして地域の方々、皆で「リカバリー」について考えを深めていけたらと思います。

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◆「RSA」の原版(英語版)に関しては下記のサイトをご参照ください

http://www.yale.edu/PRCH/tools/rec_selfassessment.html
http://www.yale.edu/prch/people/oconnell.html(原版の作成者、O’Connell氏の紹介です)

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