第41回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会が開催されました。

名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会
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11月28日に第 41 回名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会が開催されました。

今回は会場と、オンライン両方を利用しての開催となりました。


【一般公演 】 『統合失調症治療におけるアセナピンの位置付け』
座長:すずかけクリニック 福智寿彦先生
演者:愛知医科大学 藤田貢平先生、藤田先生

名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会講演の「統合失調症治療におけるアセナピンの位置づけ」に参加しました。腸炎を患っている統合失調症の患者さんに対してアセナピンを投与するお話しを聞き大変おもしろいと感じました。

アセナピンは舌下粘膜から吸収され腸管を介さず中枢に作用されるということで負担も少なく、また効果の時間差もあると学び患者さんに対し期待性が高い製薬だと感じました。

【特別公演】『重篤な身体疾患を抱えた患者さん、ご家族の精神的ケアがん患者・家族との支持的関わりを中心に』
座長:愛知医科大学 精神 科学講座 教授 兼本浩祐先生
演者:名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野 教授 明智龍男 先生

名古屋サイコソーシャルリハビリテーション研究会特別講演は名古屋市立大学病院の明智龍男先生の講演でした。明智先生はサイコオンコロジー(精神腫瘍学)を専門とされており、今までに沢山の患者さんの死を間近でみてきたそうです。

日本人の死因第1位はがんであり、 今や誰もがなりうる身近な病気となっています。そしてがん患者さんやそのご家族は心に大きな問題を抱えています。がんと診断された方の1年以内の自殺率は、そうでない人の24倍 であり、そのご家族も、うつ病を発症したり、自殺される方が多いと報告されています。

先生は長年の経験から、 まず患者さんとの信頼関係を築いたうえで、その人の経験している苦痛を真の意味で理解する事はできないけれども 、 苦痛を理解するための努力をすることができるとお話されるそうです。

そして様々な手法で患者さんの心や体のつらい症状を和らげる事に尽力されています。ディグニティセラピーは、終末期の患者さんにご本人が大切にしている事を大切な人に伝えるというプログラムです。

これは、参加者の満足度は非常に高いそうですが、意外にもほとんどの人がこのプログラムを受ける事を拒否されたそうです。 日本は死を否定する文化があるからではないだろうか、との事でした。

また、がんの慢性疼痛に対するアクセプタント&コミットメントセラピー( ACT )の認知行動療法の話もとても興味深く、痛みをコントロールしようとする事自体が問題である、というものでした。 講演は先生の温厚なお人柄がにじみ出るお話ばかりで、先生に話を聴いて もらい救われた患者さんやご家族はたくさんみえると思います 。

座長である兼本先生が、私が死を迎える時は是非明智先生にベットサイドにきてもらいたい、という言葉がとても印象的でした。